メンズファッションブランドで働くコツ
メンズブランドは男性も女性も働けるけど…
アパレルブランドの半数以上はレディース向けで、メンズファッションブランドの数はレディースに比べて少ないです。そのためいくつかのアパレルショップでの勤務経験がある方でも、メンズは未経験という方は少なくないのではないでしょうか。
それに「自分の好きなブランドの服を着て働きたい」という理由でアパレル勤務を希望する方が多いので、そういった意味でもわざわざメンズブランドを希望する方は少ないのでしょう。
しかし、女性でもあえてメンズ向けブランドで働きたいという方もいらっしゃると思います。メンズ服が好き、レディースアパレルの雰囲気が苦手、といった理由や、たまには違う環境で働きたいという気分転換のつもりで希望する方もいらっしゃるかもしれません。
中には異動や派遣先を選べないなどの理由からやむなくメンズブランド勤務を余儀なくされた方もいらっしゃるかもしれませんね。
ちなみに男性でアパレル店員を希望される方はメンズブランドを希望する方が大半だと思います。というより、男性の場合は逆にレディースブランドに採用してもらう事が難しいかもしれません。
このようにメンズブランド勤務を希望する理由は人それぞれですが、メンズブランドは女性でも男性でも働くことができます。
しかし、メンズブランドはレディースブランドと全く同じ接客方法では上手くいきません。レディースブランドとは色々と勝手が違うんですよね。
ですからレディースブランドではバンバン売上を上げていた方でも、メンズブランドにいった途端売り上げが伸び悩むケースもあると思います。
つまり、レディースブランドとメンズブランドでは異なる接客テクニックが求められるんです。レディースブランド経験が長い方こそそこをきちんと理解しておきましょう。
接客の仕方は男女一緒じゃだめなの?
レディースブランドとメンズブランドの最大の違いは、ターゲットが女性か男性かという点です。
女性と男性では基本的に物事に対する考え方が異なります。それは買い物する時も同じで、購入に至るまでの心理的プロセスは男女で大きく異なります。
つまり接客によって商品を売るためには、女性には女性の、男性には男性の思考パターンに合わせた接客を心掛けなくてはいけません。
もちろん清潔感・笑顔などの接客の基本は男女関係なく販売員には必須ですが、より質の高い接客をするにはこうした性別による思考の違いを考慮した接客テクニックが必要になってくるんですね。
男性の思考パターンを理解する
では、具体的にメンズブランドで働く(男性向けの接客をする)ためにはどんな接客を意識すればいいのでしょうか。それは男女の買い物に対する意識の違いについて考えてみると分かってくると思います。
女性は服を買いに行く際、買い物自体を楽しみます。色んなショップを見て「手持ちの服に合うかな」「今度のデートの時着ていきたいな」などと考えながら、たくさんの商品の中から選んでいく過程を楽しんでいます。
ですから店を何件もハシゴして見て歩くのもそんなに苦ではないし、ふらふらと見て回るだけで何も買わないことも珍しくありませんよね。逆にたまたま入った店でつい衝動買いしてしまった、ということもよくあります。
一方男性はある程度目的を持って買い物に行くことが多く、「必要なものは買う、必要ないものは買わない」というスタイルを持っています。
ですからそもそも目的もなく店に入ることがあまりありませんし、「欲しい」と思ったものはすぐに購入するのでわざわざ他の店を見て回ることもありません。
よく男性は女性の買い物に付き合うのが苦手と言いますが、それはこうした買い物スタイルの違いからくるストレスが原因でしょう。即決即購入が基本の男性からしたら、散々店を回った挙句何も買わないという女性についイライラしてしまうんでしょうね。
つまり男性は服も必要に応じて購入するので、男性相手に接客をする場合は「いかにこの商品があなたにとって必要なものか」を訴えかけるのがポイントになります。
そして男性の場合、女性と違って
「これ良いですよねー」
「私も持ってます」
といった「共感フレーズ」はあまり心に響きません。
それよりも、
「この商品はフランス製です」
「高品質な生地が使われています」
「1つ1つ職人の手で作られているんですよ」
といったように商品自体の良さをアピールする方が効果的です。
一般的に女性は感情的、男性は論理的に物事を考えると言われていますから、男性が買い物の際に必要なのは「共感」ではなく「情報」なんですね。
商品に関する情報を具体的に提示して魅力を伝え、商品価値を高めることでその商品が「必要なもの」と判断されれば購入してもらえるという訳です。
こうした商品購入に至るまでの男女の思考パターンの違いを理解すれば、接客中に出てくる言葉も自然と変わってくるのではないでしょうか。
センスに自信がない男性相手の接客テク
女性と男性の思考パターンの違いから男性向けの接客について考えてみましたが、次は男性が服を買う時の事情について考えてみましょう。
服を買う際には彼女や女友達に見立ててもらうという男性がよくいますが、これはどうしてかというと自分のセンスに自信がないからですね。
自分なりのこだわりを持って自分の好きなものを選びたいという男性ももちろんいますが、
「ファッションについてあまり詳しくないから、センスのある人に選んでほしい」
「無難でダサくない服を着たい」
と思っている男性は非常に多いんですよね。ですからそんなお客さんには、商品をおすすめする時にどんな服と合わせるか、どんな着こなしをすればいいかなどをさりげなくアドバイスすると喜ばれると思います。
それにこうしたタイプの人は失敗しないためにマネキン買いする人も少なくないです。つまり全身コーディネートを提案すればすべて買ってくれるということも珍しくありませんから、そうしたお客さんにはどんどんアドバイス・提案してあげるといいですね。
ただ、男性の中には女性店員に対して、
- 試着する時サイズが合わなかったら恥ずかしい
- ダサいと思われたくない
- 会話する時緊張する
などの恥ずかしさや抵抗感を感じる人もいます。
女性店員には「女性視点からのアドバイスが出来る」という最大の強みがあるのですが、そうした異性ならではのマイナス面もあるのは覚えておきましょう。
最初は女性店員に対する抵抗感があっても、物腰の柔らかい態度を心掛けてみたり、親しみやすい雰囲気を出すとそうした気持ちも薄れるかもしれませんから、このあたりは実践を重ねて自分なりの接客スタイルを見つけていくといいですね。
ただ親しみやすさを意識して、あえてくだけた話し方をしたり冗談を言ったりする接客テクニックもありますが、つい勢いで「パンツの丈めっちゃ余ってますねw」などと失礼な事を言ってしまうと途端に不機嫌になったりしますので、その辺の線引きは重要ですよ。
職場環境の違い
ちなみにメンズブランドで働く場合、周りのスタッフが男性ばかりというのもレディースブランドとは違う点です。
女性ばかりの職場では同性同士仲良くなりやすい一方、派閥があったり陰で悪口を言い合ったりなどまさに「女の世界」といった面もあります。
対して男性が多いメンズブランドの場合、上下関係が厳しい体育会系の職場が多くなります。中にはねちっこい性格の男性店長などもいるようですが、男性が多い職場はやはり女性が多い職場とは雰囲気が違ってくると思います。
女性スタッフばかりのレディースブランドでしか働いた事がないという方の場合はいつもと違った環境に戸惑うこともあると思いますので、メンズアパレルで働きたいならそうした点も考慮しておく必要がありそうですね。
接客の基本は忘れずに
以上、メンズブランドでの販売テクニック、レディースブランドとの違いなどについて説明してきましたが、接客ではマニュアル通りにいかないことってたくさんありますよね。
男女の接客の違いについても同じで、男性だからといってすべての人が先ほど説明したような「男性の思考パターン」が当てはまるとは限りません。
もちろん男性でも優柔不断な方はいますし、何件もハシゴして買い物するのが楽しいという方、店員とたわいのない談笑をしながら買い物するのが好きという方もいます。逆に女性でも「私も持ってるんですよ」の一言にイラっとくる方もいます。
男だからこう、女だからこうという型にはめる接客はよくありません。あくまでも「お客様一人一人に合わせて柔軟に対応する」ということを忘れないでくださいね。
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