アパレルECサイト増加と販売員の将来
EC化が進むアパレル業界

一昔前までは洋服をネットで購入することに抵抗のある人は多かったですよね。
実際に目で見て、触って、試着してみてからじゃないと買いたくないという意見は多く、カタログ販売(通販)にも一定のニーズはありましたが大半は実店舗で買い物をしていました。
しかし今、ネット上で買い物をする人は急増。服やバッグ、靴までオンラインショップ(ECサイト)で購入することも珍しくなくなりました。
ここまでネット通販の利用者が増えたのは、ファッションEC市場がどんどん拡大していったことで扱う商品も豊富になったこと、サイトも見やすく進化して購入しやすくなったことなどが主な理由でしょうか。
スマホからでも簡単に注文できるので、10~20代をはじめ、主婦層からも利用者は多いですね。
ネット購入のネックとなるのが、
- 色や素材が思っていたのと違った
- サイズが合わなかった
といった実際の商品を見ることができないことで起こる問題です。
「返品するのは面倒だから結局タンスの肥やしになってしまった…安いから買ってみたけど結果的に高い買い物になってしまった」
という経験をしたことがある方も少なくないはずです。
しかし最近は返品に掛かる送料を無料にしたり、モデルが試着した画像を載せたりと、ECショップ側も色々と工夫を凝らしていて、まだまだ問題点はあるもののネットショッピングのデメリットといえる部分は徐々に改善されてきています。
また消費者側も何度も利用するうちに「失敗しない買い方」を身に付けるようになるので、始めの頃のような画面上の写真と実際の商品とのギャップをあまり感じることもなく上手に買い物できるようになってきます。
こうしたこともあって、ネットで商品を購入する人は増え、今後もさらに増えていくことが予想されます。それに伴ってアパレル業界のEC化もどんどん進んでいくでしょう。
消費者からすると、EC市場が発展していくことは歓迎すべきことのような気もしますよね。しかし、アパレル販売員にとってはそうではなさそうです。
危ぶまれるアパレル販売員の将来
アパレル業界のEC比率は年々上がり、今や全体の売上の1割に届く勢いです。ブランドの中にはすでに25%がEC売上という所もあります。
今のところはまだまだ実店舗での売り上げがメインではありますが、10年後にはどうなっているか分かりません。
現在すでにアパレル実店舗の売上低下が深刻で、お店に来たと思っても商品をチェックするだけで後日ネットショップで購入するというショールーミングも問題になっています。
もしこのままWEBでの売り上げが伸びる一方実店舗での売り上げが下がり続ければ、企業側もEC事業メインの戦略に舵を切ることになります。そうなれば実店舗の数は減っていき、必然的にアパレル販売員の数も…。
今後もアパレル販売員が生き残っていくためには、WEBサイトに負けないサービスや接客スキルを身に付けていく必要がありそうです。
ショップ店員の役割
ネットショッピングをする人が増えても、やっぱり実店舗で商品を見て買いたいという人は必ずいます。また、店員さんと楽しく会話しながら買い物する方が好き、という人も絶対にいます。
実店舗で買い物する人は、ただ商品を手に入れたいというだけでなく、実際に色々な商品を手に取ってみたり、鏡の前で合わせてみたり、友達や店員さんと楽しくショッピングしたいという「買うまでの工程も楽しみにしている人」が多いように思います。
またお得意様はいつも同じ店員を指名して会話をしながら買い物していきますよね。こういうお客さんは商品を購入する際、商品自体に魅力を感じて買う他に「○○さんがおすすめしてくれたから買う」ということもあります。これは販売員の魅力・トーク力があってこそで、WEB上ではマネできません。
ECサイトに太刀打ちするとしたら、実際にお客さんと会うことができる強み、みたいなところをもっと活かしていくことが大切なのかなと思います。
先ほどショールーミングについて触れましたが、逆にネット上で吟味してあらかじめ買う物を決めてから実店舗に買いに行くという人も少なくないようです。(店員さんの接客が嫌だからというネガティブな理由もあるようですが)
理由はどうであれ店舗には足を運んでくれるわけですから、そこで何かお客さんを取り込める工夫ができればリピーターにも繋がるかもしれません。
SNSを使った呼び込みやイベントの開催など、わざわざ店舗まで買い物に行きたいと思ってもらえるような店作りを目指していきたいですね。そこが難しいところでもありますが…。
アパレル販売員の将来性は不安な面もありますが、逆に今の市場を理解していち早くショップ店員の本当の役割に気付くことができれば、生き残っていける可能性は十分にあるでしょう。
スポンサーリンク